推薦文が経歴の要約になるのは、書きやすいものから書いてしまうから
私たちは、推薦文と推薦理由を別の仕事として扱っています。推薦文は、経歴やスキルを企業の要件に翻訳して並べる作業です。「この人は何ができるか」の整理にあたります。
推薦理由は、「この人がなぜこの会社を受けるのか」と「この会社がなぜこの人を採るべきか」をつなぐ判断です。こちらは「なぜこの組み合わせか」を決める仕事です。
混同が起きるのは、推薦文のほうがずっと書きやすいからです。職務経歴書と求人要件があれば形になり、正解に近い型もあります。一方、推薦理由の材料は手元の書類にはありません。候補者の熱量も、企業が本当に採りたい理由も、文字情報の外側にあります。
AIを使っても同じことが起きます。素のAIに「推薦文を書いて」と頼むと、それらしい文章は出てきます。ただ、どの強みを一行目に置くか、どの懸念に先回りするかという判断は入っていません。速く書けるぶん、「合っているけれど決まらない推薦」も増えやすくなります。
通る推薦文はPDF1枚に収まり、人物面が中心になっている
Staneerでは、書類選考を通す推薦文の違いを次のように整理しています。
| 観点 | 通らない推薦文 | 通る推薦文 |
|---|---|---|
| 転職理由 | ネガティブな表現をそのまま書く | 前向きな表現に変換する |
| 長さ | 冗長 | PDF1枚に収まる(400〜700字程度) |
| 中身 | 経歴の要約が中心 | 経歴は簡潔にし、思いや志向性など人物面が中心 |
構成は「お人柄」「転職理由」「希望年収」の3項目です。冒頭には「推薦状」と候補者氏名(ふりがな)を書きます。希望年収は、現年収・希望年収・最低希望年収を分けて記載します。
職務経歴の詳細は最小限にします。職務経歴書の職務要約と重なりすぎないようにするためです。面談メモから読み取れる人物面を優先すると、採用担当の方が短時間で候補者を理解できます。
AIに任せるのは材料の整理と下書き、人が担うのは見立てと事実確認
線引きの基準は単純です。材料を整理して文章にする作業はAIに任せます。「この組み合わせで推す」という判断と事実の確認は、人が担います。
| 作業 | Claude Codeに任せる | CAが担う |
|---|---|---|
| 材料の整理 | 面談メモ・職務経歴書・求人票から要点を抜き出す | 面談で本音を引き出し、メモに残す |
| 要件との照合 | 合致点と懸念点を一覧にする | 懸念を推薦文でどう補足するか決める |
| 下書き | 3項目の推薦文を400〜700字で作る | 推薦理由の一行を自分の言葉で決める |
| 確認 | 不足情報を「確認できません」と明示する | 事実確認・表現の修正・提出の判断 |
AIの出力は人が事実確認・修正してから候補者や企業に使う。これは私たちが必ず守っている前提です。
もう一つ、AIは面談メモ以上のことは書けません。本音が出ていない面談からは、AIも薄い推薦文しか作れません。推薦文の質は、面談の質に左右されます。
求人紹介の段階で候補者に送る「なぜこの求人が合うか」の一言コメントは、書類に添える推薦文とは別物です。社内でも呼び名を分けておくと、指示の混乱を防げます。
推薦文の下書きを作る5つのステップ
- 材料をそろえる:履歴書、職務経歴書、面談メモ、求人票を一つのフォルダに置きます。採用背景などの企業情報があれば加えます。
- 骨子を出させる:Claude Codeに、要件との合致点、懸念点と補足案、面接で見てほしい点、推薦前に確認すべき追加質問を一覧で出させます。
- 推薦理由の一行を人が決める:骨子を見ながら下の3つの問いに答え、推薦の核を一行で書きます。
- 下書きを作らせる:骨子と推薦理由の一行を渡し、3項目・400〜700字の型で推薦文を書かせます。
- 事実確認して仕上げる:経歴・数字・年収・転職理由の表現を原本と照らし合わせ、修正してから提出します。
ステップ2で追加質問が出てきたら、提出前に候補者へ確認します。急いで出すより、懸念を一つ解消してから出すほうが、企業に伝わる情報が増えます。
推薦理由を決める3つの問い
- 候補者はこの会社の何に反応したか。条件ではなく、面談中に温度が上がった瞬間を一つ思い出します。
- その反応は、本人の転職理由とつながっているか。ずれていると、面接で「なぜうちなのか」に答えられません。
- 企業はこの人の何に投資するのか。要件を満たすだけでなく、採用背景に照らして採る理由があるかを考えます。
3つの問いがつながったとき、推薦理由が一行で書けます。具体的な場面を一つも挙げられないなら、まだ書く段階ではありません。
指示の出し方は3つの原則で安定する
原則1:材料にないことは書かせない
推薦文は、候補者の代わりに企業へ出す書類です。指示には「推測や脚色をしない」を必ず入れます。不足する項目は「記載情報からは確認できません」と書かせます。それらしく埋めた一文は、面接での食い違いにつながります。
原則2:構成と分量を先に指定する
「3項目で」「400〜700字で」「『候補者概要』『推薦コメント』などの見出しは使わない」と、型を指示に書き込みます。型が決まっていると出力のぶれが減り、確認もしやすくなります。
原則3:判断は人が渡し、AIには表現を任せる
推薦理由の一行や懸念の補足方針は、CAが決めてから渡します。判断までAIに任せると、型をなぞっただけの推薦文に戻ります。AIに任せるのは、決めた判断を読みやすい文章に整える部分です。
推薦文づくりでつまずきやすい4つの型
- 職務経歴書をなぞるだけになる:経歴の詳細は企業が書類で読めます。推薦文では人物面と転職の背景に字数を使います。
- 転職理由が不満のまま残る:現職への不満を強調せず、今後実現したいことが伝わる表現に整えます。表現は変えても、事実は変えません。
- 個人情報をそのまま入力する:必要に応じて氏名・連絡先・在籍企業名を伏せてから渡します。社内の扱いのルールを先に決めておきます。
- 速さを優先して量産する:速く書けるほど、合っているけれど決まらない推薦も増えます。迷ったら推薦しない、という線を持っておきます。
どの型も、AIの使い方より手前の判断で起きています。下書きが速くなった分の時間は、推薦理由を考えることに回すのが近道です。
よくあるご質問
面談メモが短いときでも、AIで推薦文は作れますか。
作れますが、内容はメモの厚さに比例します。材料が足りない項目は「記載情報からは確認できません」と出るように指示しておきます。その一覧を、候補者への追加質問として使うと無駄がありません。足りない部分をAIに推測で埋めさせるのは避けてください。
AIが書いた推薦文を、そのまま企業に出してもいいですか。
そのままは出しません。経歴、数字、年収、転職理由の表現を、職務経歴書や面談メモと照らし合わせます。あわせて、推薦理由の一行が自分の言葉になっているかを確かめます。最終的に企業へ出すかどうかの判断も、CAが担います。
プログラミングの経験がなくても使えますか。
Claude Codeへの指示は日本語で出せます。推薦文の型や禁止事項を一度ファイルに書いておけば、毎回同じ条件で下書きを作れます。社内で型を作る進め方を学びたい場合は、人材紹介向けClaude Code研修で推薦文の演習も扱っています。まずは一人分の推薦文で試してみるのがおすすめです。
まとめ
推薦文が経歴の要約になるのは、書きやすいものから書いてしまうからです。材料の整理と下書きはClaude Codeに任せ、CAは推薦理由の一行と事実確認に時間を使います。
通る推薦文はPDF1枚に収まり、お人柄・転職理由・希望年収が中心です。型を指示に書き込み、材料にないことは書かせない。この二つを守るだけで、下書きの質は安定します。
まずは、直近で書類が通らなかった候補者を一人選び、3つの問いに答えて推薦理由を一行で書くことから始めてみてください。その一行が、Claude Codeに渡す最初の材料になります。
